2.be動詞の否定命令文の謎

なぜ,be動詞の否定命令文は「Don't be ~」なのか?


命令文には主語がなく,いきなり動詞の原形で始まる。
be動詞を使った(ふつうの)命令文は,

 Be  careful.
になれ 注意深い。

で問題ないが,否定命令文だと,

 Don't   be   caraful.
~するな ~になる 注意深い。

なぜ,一般動詞専用のDon'tがbe動詞といっしょに使われるのだろう?

Be not ~.という形にならないのはなぜ?

といった疑問がわいてくる。be動詞の否定命令文が「Don't be ~」という形なのは,


理由 その1 be動詞は「存在」を表すから

be動詞の意味は「~です」,「いる・ある」,「~になる」と大別されるが,本来の意味を考えるときのキーワードは「存在」。すなわち,

(1) 「(~という)存在である」 → ~です(である) ・・・ be動詞の後は「名詞」
  I         am        a     student.
  私は ~という存在である 一人の   生徒。

(2) 「(~という)存在になる」 → ~になる
  He  wants        to be        a   teacher.
彼は  欲する ~という存在になることを 一人の 教師。

(3) 「存在している」 → いる・ある
  Your    books      are       on    the   desk.
  あなたの 本たちは 存在している ~の上に その  机。

(4) 「(~という状態で)存在している」 →~です(である) ・・・ be動詞の後は「形容詞」
  She           is        very   beautiful.
  彼女は ~という状態で存在している とても  美しい。

Be careful.は(注意深い)という状態で存在しろ
もし,be notとしたら…。beの直後にnotをもってくると,存在そのものを否定する形になってしまう。この世から消えろとは命令できないからね。以上,チョット無理のある説明でした。


理由 その2 否定命令文の起源は「強調」の表現だから

以下,高校の内容です。
一般動詞専用と考えられるdo(don't)とbe動詞の接点は,「強調(構文)」にある。
ふつうの命令文を強調するとき,文頭に「強調を表す助動詞」Doを付けて,

Play tennis. → Do play tennis.(一般動詞の場合)
Be careful. → Do be careful.(be動詞の場合)


これを否定形にしたものが「否定命令文」の正体なのだ!!

Do play tennis. → Don't play tennis.
Do be careful. → Don't be careful.

したがって,否定命令文は「否定文から主語を取った」という単純なものではない。
強調を表す助動詞doは,be動詞・一般動詞の区別なく用いられるのである。


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